富山外国語専門学校開校式
ハク[掃・剥]・フク[吹・福]考
マク[巻・幕]・ムク[向・目]考
「コトダマの世界」
富山外専の講師に
1985年4月、富山外国語専門学校の中国語非常勤講師として採用されました。
この学校は、もともと2年制の英語専門学校として設立されたのですが、あわせて一般市民のために英語・中国語などの専修コースが開設されました。中国語コースは1教室で、松井武男先生が担当される予定でした。たまたま中国語の受講希望者が定員の2倍以上の多数に達したことから、急きょ1教室増設となり、イズミにまでお声がかかりました。
教えることは、学ぶこと
外專の生徒さんたちは、みんなまじめで、学習意欲満々でした。年齢は、青年から老年までまちまちでしたが、とりわけ子育てに手がかからなくなった女性たちのグループが目立ちました。それは、まさしく「女性の時代」の到来を告げるものでした。気づいてみれば、「源氏物語」や「枕草紙」の時代から、語学・文学は女性たちにとって得意の分野でした。
教室では、いろんな質問が出ました。中には、独自の解釈や見解をもっておられて、講師の意見を求めるというようなこともありました。
質問には、できるかぎり丁寧に答えました。即答できない場合は、宿題にしていただき、よく調べたうえで次回に回答するようにしました。
教えることは、学ぶこと。自分の好きなことを勉強していて、手当てがいただける。外專での16年間は、わたしにとって最も充実した研究生活の毎日でした。
中国語学会での研究発表… 1970~1992
1968年に「象形言語説」を発表してから、わたしは断続的に中国語学会(19787年10月まで「中国語学研究会」、また1989年10月「日本中国語学会」と改称)の全国大会に出席しました(6/14「山室中学校のころ②」を参照)。1982年からは、ほとんど毎年全国大会に参加し、象形言語説の検証作業としての研究発表をつづけました。
1982.11.ニヒ[新]・ニフ[丹生・入]考。中国語学会32回大会
1983.11.カヒ[貝]・カフ[買・合・甲]考。中国語学会33回大会
1984.10.サク[析・削]・スク[鋤・宿]考。中国語学会34回大会
1985.11.カツ[勝・割]・クツ[沓・屈]考。中国語学会35回大会
1987.10.ハク[掃・剥]・フク[吹・福]考。中国語学会37回大会
1988.10.マク[巻・幕]・ムク[向・目]考。中国語学会38回大会
1990.10.反、ハネ、フネ考。中国語学会40回大会
「コトダマの世界」を刊行
1989年秋、富山市制100周年記念「東アジア文明の源流展-中国陝西省出土文物展覧」(9.24~11.12. 富山市体育文化センター)の終了を機に、富山市日中友好協会副会長の役職をはずしていただきました。浮いた時間で、20年来書きためてきた「象形言語説」関係の作品をまとめ、1991年9月、社会評論社から「コトダマの世界…象形言語説の検証」として刊行しました。
できあがった本の内容を見て、自分ながら未熟・不備な点もありますが、とにもかくにも「日漢英の音韻比較」という壮大なテーマに挑戦できたことはよろこびです。
このあと、V. H. Mair 教授から「民族言語の音韻比較」について貴重な助言をいただくことになりますが、その点でも この本の出版は わたしにとって記念すべき一里塚だと思っています。
もくじの一部だけご紹介します。
第1部 コトダマ発生のメカニズム
第1章 音声による象形
1.仮説「象形言語説」 2.モジのはじまりは象形
3.ABCも象形から 4.発声器官による象形
5.抽象画のような象形 6.コトダマ効果と信仰
第2章 日漢語音による象形
1.ナフ[隠・納]・ニフ[丹生・入] 2.カヒ[貝]・カフ[買・合・甲]
3.サク[析・削]・スク[鋤・宿] 4.カツ[勝・割]・クツ[沓・掘]
5.ハク[掃・剥]・フク[吹・福] 6.マク[巻・幕]・ムク[向・目]
7.ハネ[撥・反・翼]・フネ[船]
第3章 英語音による象形
1. /s~k/ sack, ski, skin 2. /k~t/ cut, gate
3. /k~l(r)/ kill, cross 4. /g~l(r)/ glass, grass (中略)
8. /t~l(r)/ tele-, tree 9. /d~l(r) dull, draw
10. /str~/ straight, string 11. /~t(d, n)/ lived, heard, kept, known
第2部 コトダマの世界
第1章 鉄器伝来の影
1.わが名はヰヒカ 2.ヒコ大王のほこり
3.岩をサク矢 4.田をスク・ナの神
第2章 太陽信仰の系譜」
1.カスガとクサカ 2.とぶ鳥のアスカ
3.とぶヤトリの歌 4.朝日のヒデル宮
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