2011年10月25日火曜日

ブログ完結のお礼とお願い

ブログに登場した作品(一部)



「七ころび、八おき」完結の お礼
ブログ「七ころび、八おき」は、前回の「「現代日本語音図」のこころみ」(10/11)で、いちおう完結の段階をむかえることができました。
このブログは ほぼ時系列で、「父母の思い出」から「兄・姉・弟のこと」、「旭川中学のころ」「東京外語のころ」、「華北交通のころ」「帰国、富山定住」、「貸本屋開業」、「富山商業のころ」、「東部・北部・西部・山室中学校のころ」、「中国物産コーナーのころ」、「富山外專のころ」、「五十音図を見なおす」、「現代日本語音図のこころみ」まで、90年間にわたる自分のイキザマを記録してまいりました。資料的な面で不十分なところもありますが、どうにかまとまりがついて、ほっとしています。
1年間のおつきあい、ありがとうございました。  


失敗して学んだこと
ふりかえってみると、わたしの人生はたしかに失敗の連続だったと思います。「玉音放送を聞いて、はじめて日本の敗戦を知った」とか、「富山商業に勤務して1年、中国語科廃止で失職」とか、いろんなミコミはずれがありました。つまりは、自分の勉強不足・情報不足による失敗です。
しかし失敗したおかげで学習できたことも、たくさんあります。敗戦で職場を失ったのは失敗ですが、そのおかげで、ぎゃくに「大本営発表にたよらない」、「多方面から情報をいれる」、そして「納得ゆくまでよく考え、自分の責任で判断する」という習慣がついてきました。日教組の運動に参加して管理職の経験無し、中国語学会の年次大会で十数回研究発表をしながら、大学教員の経歴無し、などというのも失敗かもしれません。しかし、そうした環境におかれたおかげで「象形言語説」にたどりつき、「現代日本語音図」をまとめることができたのも事実です。自分としては、大成功だと考えています。


つぎのブログ企画について、お願い
ブログ「七ころび、八おき」が完結したあと、ひきつづき 新ブログ「コトダマの世界」発行を企画しています。なにとぞ、よろしくお願い申しあげます。
「コトダマの世界」という名称は、わたしの作品「コトダマの世界…象形言語説の検証」(社会評論社、1991.)と同名ですが、こんどはブログ名としても使うことにしました。

ブログ「七ころび、八おき」では、「イキザマ90年の記録」を目ざしてきました。そのメーン テーマは、「中国語との出会い」から「ヤマトコトバを見なおし」、「日漢英語音の対応関係を考える」など、コトバにかんするものでした。

新ブログ「コトダマの世界」では、サブタイトルを「コトバという名のトビ道具」としました。コトダマのタマは、タマ[霊・魂]であるとともにタマ[球・珠・玉・弾]でもあります。コトダマは、鉄砲ダマやミサイルのように宇宙空間をトビかけり、人の心にトビつくことができるトビ道具。痛快さと危険さとが同居する、フシギな感じの存在(イキモノ?)です。
これを機会に、あらためて「コトダマの世界」を、思いきり探検してみたいと考えています。
みなさまのご参加をお待ちしています。
初公開は、118日の予定です。

2011年10月11日火曜日

「現代日本語音図」のこころみ

「カード64」トリフダ(k-p)05.11.1. 


北日本新聞記事、05.11.18.


毎日新聞 記事、07.1.17.  


 「現代日本語音図」(試案)、08.6.20


「同上・8音図」(部分)


「同上・日漢英共通64音図(部分)


 北日本新聞]記事、08.9.7.   

象形言語説の応用②

64音図」をカルタに
8音図」と「64音図」ができたことで、わたしが追求してきた「現代日本語音図」の構想がほぼ固まってきました。のこる課題は、「どうしたら、この音図(イズミ試案)を世間のみなさんに使ってもらえるか?」ということです。
それには、「分かりやすく、使いやすい」ことが第一条件でしょう。そこで、わたしが考えついたのは、①「いろはがるた」式のゲーム カード、②大判用紙を使った一覧表形式、などです。

さしあたりまず、カルタ式のものとして「カード64」を作ることにしました。
「いろはかるた」では、「イ…犬も歩けば棒にあたる」、「ロ…論より証拠」、「ハ…花より団子」などのように、①イロハ順で編成、②内容は、12行のコトワザとなっています。
「カード64」では、①「64音図」順(abc順)で編成し、②各カードの本文は2行程度。語音と意味の対応関係を意識させる内容となるように、くふうしました。


「カード64」のトリフダ・ヨミフダ
「いろはかるた」にならって、「カード64」でもヨミフダとトリフダ(それぞれ1セット64枚)を用意し、すべてのカード右肩に、「a-a」、「k-p」などの音タイプを標記します。

トリフダでは、音タイプ標記の下に本文を記入。余白をイラストにあてます。イラストは切り絵作家、梶川之男さんにお願いしました。
たとえば「k-p」音カードの本文は、「カハ[]は、大地にカブリつく カハ[皮・側]。」余白に、イラストで「遠方の山や谷(水源地帯)から平野部まで流れつく河」をえがきます。このカワ[]の姿を「大地にカブリつく カハ[皮・側]」の姿と断言することで、ヤマトコトバの構造原理(音韻感覚・発想法・造語法)を解説します。

はじめて「カード64」を目にした人が「こんな見方・解釈もできるんだ」と、おもしろがってもらえたらと願っています。やがてミイラ取りがミイラになって、「日本語も漢語も英語も、コトバを話す人たちの発声器官や聴覚器官の構造は大同小異。コトバの音韻感覚も、大同小異(のはず)」と感じてもらえることを期待しています。

トリフダのB面では、カハ[河・皮・側]やカブル[]の単語家族を紹介します。
ヨミフダのA面では、k-p2音節語(カフ[飼・替・買]・カブ[頭・株]・カヒ[貝・峡]・クフ[]・クビ[]など)やk-p音擬声語・擬態語(ガップリ・ガブガブ・グビグビなど)を紹介します。 B面では、k-p音の漢語(kap甲・閘・夾・鋏// kiep汲・級・給 )とk-p音の英語cap, cupなどを採集提示。日漢英の音韻比較資料を提供したつもりですが、いささか盛りだくさん過ぎて、消化不良をおこさないか、心配もしています。
「カード64」は、1セット計128枚。印刷・裁断から紙箱容器づくりまで、すべて手づくり。200511月から2か月かけて、200セットを作成しました。


「64音図」が必要とされるとき
「カード64」は、北日本新聞(05.11.18)、毎日新聞(07.1.17)などでも取りあげていただき、ちょっとした話題を提供することができたようです。しかし、それ以上の反応はありませんでした。「風変わりで、おもしろそうだ」と思う反面、「年寄りのヒマつぶしにはいいだろうが、学生や社会人は、コトバのヒビキに聞き入ったり、単語家族をしらべたりしているヒマがない」といったところだったかもしれません。

「ヒマつぶし」のためではなく、「時間を節約する」ためにこそ、[8音図][64音図]を利用してほしいのです。たとえばヤマトコトバを学習する場合、カウ<カフ[飼・替・買]・カブ[頭・株]・カヒ[貝・峡]・クフ[]・クビ[]などの単語を個別に時間をかけて学習するよりも、おなじk-pタイプのコトバとしてまとめて学習する方が、はるかに短時間で、しかも確実に習得できます。

日本語を母語とし、日本漢字音コウ<カフ[]についても学習ずみの場合は、k-p音の漢語(kap甲・閘・夾・鋏// kiep汲・級・給 )についても、ヤマトコトバk-p音と共通の音韻感覚をもつコトバとして、すんなり習得できます。さらにいえば、k-p音の英語cap, cup, cable, capital, give, giftなどについても、まったく共通の感覚で理解し、習得できるでしょう。

このことから、ぎゃくに考えてみましょう。「アタマのことを、なぜカブ[頭]ともいうのか?」「カブトを意味する漢語音コウ<カフ[甲]は、なぜkap jiaと変化したか?」「ヤマトコトバのカブ[頭・株]と漢語のカフ[甲]kapと英語のcapは、なぜ音義ともちかいのか?」そんなふうに、まじめに考える人にとっては、この[64音図]のようなものが必要とされるにちがいありません。この場合は、カルタ式よりも辞典式のもの、または一覧表式のものの方がよさそうです。


「現代日本語音図」(試案) 
前回紹介した「64音図のこころみ」(20012003)は、辞典式のものを目ざしていました。構想自体は悪くなかったと思いますが、いざ作業をはじめてみると、あまりにもテマヒマのかかる仕事なので、途中で断念した経過があります。  
そのあと、じっくり時間をかけ、実用的な「一覧表式音図」としてまとめたものが、「現代日本語音図」(イズミ試案)です(20086月)。
今回は、プロの編集者から助言を受けながら編集をすすめ、校正をくりかえしました。特製のカバーをつけるなどして体裁をととのえ、700円という定価も表記しました。


「8音図」と「64音図」の2段階方式
この「現代日本語音図」は、大判用紙(60cm ×84cm1枚のA面で「8音図」、B面で「64音図」を解説しています。

A面の「8音図」では、8個の音素グループ(a, k, m, n, p, r, s, t)について、「発声方法」、「基本義」、「日漢英の用語例」の順に解説します。

この音図は、「音素(とりわけ子音)の発声法のちがいが、基本義のちがいを決める」という原理に沿った内容になっています。この原理は、日本語・漢語・英語など、どの民族にも共通のものです。いま、ここに提案したものは「日本語版」ですが、まったくおなじ原理で、やがて「漢語版」、「英語版」の「8音図」や「64音図」が作成されることを期待しています。

B面の「64音図」は、「日漢英共通64音図」という名称にしましたが、これも「現代日本語音図」であることは、「8音図」と同様です。ただ、現代日本語が「ヤマトコトバと漢語と英語など外来カタカナ語とのチャンポン語」だという現実から、「現代日本語音図」は「日漢英共通音図」でもあるべきだと考えたわけです。

解説の内容や順序などは、ほぼ「カード64」とおなじ要領で編集しました。その点では、この「64音図」と「カード64」は「双子の兄弟」みたいな関係です。

「日本語(ヤマトコトバ)の音韻感覚をつかみたい」、「第2言語として英語(中国語)を学んでいるが、英語(中国語)の音声がピンとこない」、「日本語の音韻感覚は、どうして英語(中国語)に通用しないのか?」そんな問題を抱えこんでいる人たちに、ぜひ一度この「8音図」や「64音図」を試してみられるよう、おすすめします。「8音図」に習熟したうえで「64音図」を使用されれば、抜群の効果が期待できると思います。